COLUMN

2020年東京オリンピック・パラリンピックのインフラ投資と消費の誘発に関する経済効果の試算結果

2020年東京オリンピック・パラリンピックのインフラ投資と消費の誘発に関する経済効果の試算結果

試算目的

試算目的

2020年に東京でオリンピック・パラリンピックが開催されることが決定してから、日本国内では単にスポーツイベントに向けた準備にとどまらず、消費増大を期待した様々な分野での投資が進められている。

2020年東京オリンピック・パラリンピック招致決定・開催による経済面での波及効果については、すでに多方面から試算が発表されているが、開催を来年に控えてアップデートされた情報をもとにあらためて試算することにした。

本試算では同オリンピック・パラリンピック開催にかかる経費、および招致決定もしくは開催によって期待される日本国内におけるインフラ投資と消費の誘発について算出している。

2020年に東京でオリンピック・パラリンピックが開催されることが決定してから、日本国内では単にスポーツイベントに向けた準備にとどまらず、消費増大を期待した様々な分野での投資が進められている。

2020年東京オリンピック・パラリンピック招致決定・開催による経済面での波及効果については、すでに多方面から試算が発表されているが、開催を来年に控えてアップデートされた情報をもとにあらためて試算することにした。

本試算では同オリンピック・パラリンピック開催にかかる経費、および招致決定もしくは開催によって期待される日本国内におけるインフラ投資と消費の誘発について算出している。

試算の前提条件

試算の前提条件


・2020年東京オリンピック・パラリンピック招致が2013年に決定した時点から、開催される2020年までの7年余りにおける経済波及効果を試算。
・東京オリンピック・パラリンピック開催の経費、同イベント参加もしくは観戦のための支出を直接効果として試算した。
・東京オリンピック・パラリンピック開催による消費の増大、および消費の増大や観戦客需要を見越した都市インフラ整備を付随効果として試算した。経済活性化による効果など2次的な波及効果は含めていない。


・2020年東京オリンピック・パラリンピック招致が2013年に決定した時点から、開催される2020年までの7年余りにおける経済波及効果を試算。
・東京オリンピック・パラリンピック開催の経費、同イベント参加もしくは観戦のための支出を直接効果として試算した。
・東京オリンピック・パラリンピック開催による消費の増大、および消費の増大や観戦客需要を見越した都市インフラ整備を付随効果として試算した。  経済活性化による効果など2次的な波及効果は含めていない。

試算結果

試算結果


-直接効果と付随効果を合わせた波及効果全体では27兆1,060億円。
-直接効果は3兆4,450億円。うち3兆円は大会の準備や運営の経費。
-付随効果は23兆6,610億円で、うち14兆6,320億円が訪日外国人による消費の増加、5兆3,810億円が民間企業による設備投資による。


(図表1)


-直接効果と付随効果を合わせた波及効果全体では27兆1,060億円。
-直接効果は3兆4,450億円。うち3兆円は大会の準備や運営の経費。
-付随効果は23兆6,610億円で、うち14兆6,320億円が訪日外国人による消費の増加、5兆3,810億円が民間企業による設備投資による。


(図表1)

各試算の詳細説明

各試算の詳細説明

■(直接効果)大会関連経費:3兆円
・大会組織委員会が6,000億円、東京都が1兆4,100億円の支出を見込んでいるほか、  国の支出が2013年~2017年の5年間ですでに8,011億円に上ることが会計検査院よって2018年10月に明らかにされている。  今後、さらに経費が増大することを見込んで建設費と運営費の合計で3兆円とした。

■(直接効果)国内居住の関係者・観戦者による支出(チケット代を除く):3,630億円
・これまでのオリンピック・パラリンピック開催国の例から、東京オリンピック・パラリンピックの観戦チケットのうち75%は日本国内で販売すると想定。  参加者、関係者、観客数の合計が1100万人と仮定し、うち825万人は日本国内居住者、275万人を訪日外国人と推計した。
・総務省発表の2017年の都道府県別推計人口から、上記国内居住の観戦者825万人と人口比率を掛け合わせ各都道府県別の来場者数を算出、  それぞれ都道府県別に交通費+諸雑費を往復3千円~6万円を設定した。関東7都県以外からの観客については宿泊にともなう出費も盛り込んだ。  その合計が3,630億円。(なお、訪日外国人による観戦のための支出(チケット代を除く)は、後述「訪日外国人による消費の増加」に含めている。)

■(直接効果)チケット販売:820億円
・東京2020組織委員会がチケット販売額合計を820億円と見込んでいる。

■(付随効果)訪日外国人による消費の増加:14兆6,320億円
・日本政府観光局が公開している訪日外客数をベースに試算。
・招致決定後の2019年の予測値は、2017年~2018年の推移から算出した。また、東京でオリンピック・パラリンピックが開催される2020年は、チケットの販売枚数や過去のオリンピックの開催国におけるチケット販売の割合から、関係者や観戦者が海外から275万人訪日すると予測、2017~2018年の推移から算出した訪日外国人数に加算した。
・オリンピック・パラリンピック招致がなかったと仮定した場合の2014~2020年の推定訪日外国人数は、2003~2008年を基準にした指数平滑化法による(2009年以降はリーマンショック、2011年は震災の影響が大きく、2013年まではその復興期にあたると考えたため、2009年~2013年までの実績は試算には使用していない)。
・招致決定の翌年2014~2018年の実績+2019~2020年の予測における訪日外国人数合計は約1億8,971万人で、招致がなかったと仮定した場合の2014~2020年の推定人数合計(約1億187万人)よりも約8,784万人上振れている。この上振れをすべて東京オリンピック・パラリンピック招致の効果として仮定した。

(図表2) 日本政府観光局「2003年~2018年 訪日外客数(総数)」をベースに試算およびグラフ作成

■(直接効果)大会関連経費:3兆円
・大会組織委員会が6,000億円、東京都が1兆4,100億円の支出を見込んでいるほか、  国の支出が2013年~2017年の5年間ですでに8,011億円に上ることが会計検査院よって2018年10月に明らかにされている。  今後、さらに経費が増大することを見込んで建設費と運営費の合計で3兆円とした。

■(直接効果)国内居住の関係者・観戦者による支出(チケット代を除く):3,630億円
・これまでのオリンピック・パラリンピック開催国の例から、東京オリンピック・パラリンピックの観戦チケットのうち75%は日本国内で販売すると想定。  参加者、関係者、観客数の合計が1100万人と仮定し、うち825万人は日本国内居住者、275万人を訪日外国人と推計した。
・総務省発表の2017年の都道府県別推計人口から、上記国内居住の観戦者825万人と人口比率を掛け合わせ各都道府県別の来場者数を算出、  それぞれ都道府県別に交通費+諸雑費を往復3千円~6万円を設定した。関東7都県以外からの観客については宿泊にともなう出費も盛り込んだ。  その合計が3,630億円。(なお、訪日外国人による観戦のための支出(チケット代を除く)は、後述「訪日外国人による消費の増加」に含めている。)

■(直接効果)チケット販売:820億円
・東京2020組織委員会がチケット販売額合計を820億円と見込んでいる。

■(付随効果)訪日外国人による消費の増加:14兆6,320億円
・日本政府観光局が公開している訪日外客数をベースに試算。
・招致決定後の2019年の予測値は、2017年~2018年の推移から算出した。また、東京でオリンピック・パラリンピックが開催される2020年は、チケットの販売枚数や過去のオリンピックの開催国におけるチケット販売の割合から、関係者や観戦者が海外から275万人訪日すると予測、2017~2018年の推移から算出した訪日外国人数に加算した。
・オリンピック・パラリンピック招致がなかったと仮定した場合の2014~2020年の推定訪日外国人数は、2003~2008年を基準にした指数平滑化法による(2009年以降はリーマンショック、2011年は震災の影響が大きく、2013年まではその復興期にあたると考えたため、2009年~2013年までの実績は試算には使用していない)。
・招致決定の翌年2014~2018年の実績+2019~2020年の予測における訪日外国人数合計は約1億8,971万人で、招致がなかったと仮定した場合の2014~2020年の推定人数合計(約1億187万人)よりも約8,784万人上振れている。この上振れをすべて東京オリンピック・パラリンピック招致の効果として仮定した。

(図表2) 日本政府観光局「2003年~2018年 訪日外客数(総数)」をベースに試算およびグラフ作成



・訪日外国人一人あたりの1回の訪日における日本国内での平均消費額は、観光庁の調査結果から下記の表のとおり。2019年、2020年の予測値は、2017年、2018年の実績から15万3千円とした。

(図表3) 2014年~2018年の数値は観光庁「訪日外国人消費動向調査」より



・訪日外国人一人あたりの1回の訪日における日本国内での平均消費額は、観光庁の調査結果から下記の表のとおり。2019年、2020年の予測値は、2017年、2018年の実績から15万3千円とした。

(図表3) 2014年~2018年の数値は観光庁「訪日外国人消費動向調査」より

■(付随効果)民間企業による設備投資:5兆3,810億円
・卸売・小売業、運輸・郵便業、宿泊・飲食サービス業、不動産業の各産業がオリンピック・パラリンピックの影響を受けると仮定。内閣府が発表している「2017年度国民経済計算(2011年基準・2008SNA):フロー編(付表)」の「固定資本マトリックス(名目)」から、これらの産業における設備投資額の合計を試算した。
・オリンピック・パラリンピックが招致されなかったと仮定した場合の2014~2020年の推定値(約273兆8,010億円)を2003~2008年の実績から試算、招致決定の翌年2014~2017年の実績+2018~2020年の予測値(2014~2017年の実績に基づく)の合計(約279兆1,820億円)との差を算出した(2009年以降はリーマンショック、2011年は震災の影響が大きく、2013年まではその復興期にあたると考えたため、2009年~2013年までの実績は試算には使用していない)。この差をすべて東京オリンピック・パラリンピック招致の効果として仮定した。

(図表4) 内閣府「2017年度国民経済計算(2011年基準・2008SNA):フロー編(付表)」の「固定資本マトリックス(名目)」をベースに作成

■(付随効果)民間企業による設備投資:5兆3,810億円
・卸売・小売業、運輸・郵便業、宿泊・飲食サービス業、不動産業の各産業がオリンピック・パラリンピックの影響を受けると仮定。内閣府が発表している「2017年度国民経済計算(2011年基準・2008SNA):フロー編(付表)」の「固定資本マトリックス(名目)」から、これらの産業における設備投資額の合計を試算した。
・オリンピック・パラリンピックが招致されなかったと仮定した場合の2014~2020年の推定値(約273兆8,010億円)を2003~2008年の実績から試算、招致決定の翌年2014~2017年の実績+2018~2020年の予測値(2014~2017年の実績に基づく)の合計(約279兆1,820億円)との差を算出した(2009年以降はリーマンショック、2011年は震災の影響が大きく、2013年まではその復興期にあたると考えたため、2009年~2013年までの実績は試算には使用していない)。この差をすべて東京オリンピック・パラリンピック招致の効果として仮定した。

(図表4) 内閣府「2017年度国民経済計算(2011年基準・2008SNA):フロー編(付表)」の「固定資本マトリックス(名目)」をベースに作成

■(付随効果)東京の市街地再開発:2兆5,000億円
・東京都内の市街地再開発のうち、2017年以降に竣工したものと2020年までに竣工もしくは暫定開業を目指して計画されているものの延べ床面積合計を500万m2として試算した。
・再開発にともなう事業費の単価は、近年竣工した再開発事業の例を参考に、材料費や人件費の高騰を加味して50万円/m2と設定した。

■(付随効果)交通インフラ整備:6,480億円
・2020年までの完成を目指しているものを含めた。
・首都高速道路の老朽化対策6,262億円がメイン。
・BRT(バス高速輸送システム)の導入18億円。 ※2013年検討時の試算
・JR東日本・高輪ゲートウェイ駅整備費のうち2020年に合わせた暫定開業のためにかかる追加コストを200億円(横須賀線武蔵小杉駅新設事業費と同等)として試算。

■(付随効果)国内スポーツ需要の喚起:5,000億円
・2011~2018年スポーツマーケティング基礎調査(三菱UFJリサーチ&コンサルティングとマクロミルによる共同調査)の「スポーツ参加市場規模」の数値から、近年の夏季および冬季オリンピック開催が日本国内のスポーツ参加市場に一定の刺激を与えていると考えられる。ただし効果は長く続かず、開催年のみ。
・この試算では2019年の国内スポーツ参加市場規模が2018年と同等、2020年は一時的に拡大(2019年比で2割ほど上昇)すると予測した。

(図表5) 実績の数値は2011~2018年スポーツマーケティング基礎調査(三菱UFJリサーチ&コンサルティングとマクロミルによる共同調査)より引用、2019~2020年の数値は紀尾井町戦略研究所による試算

■(付随効果)東京の市街地再開発:2兆5,000億円
・東京都内の市街地再開発のうち、2017年以降に竣工したものと2020年までに竣工もしくは暫定開業を目指して計画されているものの延べ床面積合計を500万m2として試算した。
・再開発にともなう事業費の単価は、近年竣工した再開発事業の例を参考に、材料費や人件費の高騰を加味して50万円/m2と設定した。

■(付随効果)交通インフラ整備:6,480億円
・2020年までの完成を目指しているものを含めた。
・首都高速道路の老朽化対策6,262億円がメイン。
・BRT(バス高速輸送システム)の導入18億円。 ※2013年検討時の試算
・JR東日本・高輪ゲートウェイ駅整備費のうち2020年に合わせた暫定開業のためにかかる追加コストを200億円(横須賀線武蔵小杉駅新設事業費と同等)として試算。

■(付随効果)国内スポーツ需要の喚起:5,000億円
・2011~2018年スポーツマーケティング基礎調査(三菱UFJリサーチ&コンサルティングとマクロミルによる共同調査)の「スポーツ参加市場規模」の数値から、近年の夏季および冬季オリンピック開催が日本国内のスポーツ参加市場に一定の刺激を与えていると考えられる。ただし効果は長く続かず、開催年のみ。
・この試算では2019年の国内スポーツ参加市場規模が2018年と同等、2020年は一時的に拡大(2019年比で2割ほど上昇)すると予測した。

(図表5) 実績の数値は2011~2018年スポーツマーケティング基礎調査(三菱UFJリサーチ&コンサルティングとマクロミルによる共同調査)より引用、2019~2020年の数値は紀尾井町戦略研究所による試算

本資料・データの使⽤・掲載について

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本資料・データを使⽤・掲載される際には、必ず下記の出典を明記してください。
 2020年東京オリンピック・パラリンピックのインフラ投資と消費の誘発に関する経済効果の試算結果(紀尾井町戦略研究所)

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